マリアージュ
~神の雫 最終章~ とは



概略と個人的感想

概略 :

2015年5月よりコミックモーニングにて連載開始。

前作、「神の雫」で残された最後の一本、「神の雫」対決への参加権を得るために、「神の雫騎士団」将校(オフィシエ)7人に分配された「神の雫」の記述を獲得するための戦いを雫と遠峰が強いられる。

雫・遠峰の対戦内容は、ワイン単独の味わいから、ワインと食べ物のマリアージュへ移行。
使徒勝負同様、勝敗はマリアージュの質や完成度が最優先ではなく、マリアージュの理解度(その世界観を言葉でどの様に表現するか)に重きを置く。

個人的感想 :

■ 「神の雫」に新たな設定を付加し、続作は「マリアージュ」に切り口が変えられました。 当然、新設定の追加で、様々な矛盾も生じています。

新たな設定はレビューで…

雫は「ワイン無知」から、一年の海外修業の旅を終え、かなりワインの知識を得ていますが、遠峰を始めとする前作でプロフェッショナルな位置づけで描かれた人たちには、まだ遠く及ばない様子です。

また、料理との「マリアージュ」で、作者オリジナルの「マリアージュメソッド」や、初めて聞く目新しい情報は存在せず、食べ合わせ趣向を妄想風景で飾り立て、それを登場人物が絶賛する形がテンプレート化しています。
趣向は個人差がありますので、ワイン単独の味わい評価よりもハードルは高く、このコンセプトでの読者への有益な情報提供、および長期展開はかなり難しそうな予感がします。

ストーリーの雰囲気は「神の雫」末期と全く同じか、さらにバトル色を強めた感じ。
相変わらず様々に思わせぶり、意味ありげに派手なフラッグをドカドカ立てますが、それらは伏線ではなく、その後は全く無視されるか、直後の話で極めて平凡に処理されます。 連載開始半年で、早くもマリアージュはネタ切れ感が蔓延しており、先々不安な状態です。(2015/12)

マリアージュを主題に据え、ワインを楽しむ(料理に併せてワインを選ぶ、ワインに併せて料理を選ぶ)上で一般的に役立つ情報が享受される事を期待していましたが、 その手の情報は一切無くなりました。
作者の趣向(フランスワイン万歳)に基づき、作者が飲み食いしたワインと料理、その時に店から聞いた話を登場人物にそのまま語らせていますので、その店で、その時にしか成立しないマリアージュの報告に過ぎません。
さらに、ワインに合う様創意工夫した料理人や、ワインを産みだしているワイナリー・醸造家が偉いのではなく、ワインを選びマリアージュのイメージを表現した人間こそが偉大であると説き、登場人物はそれを偉業としてひたすら絶賛しています。  マリアージュのイメージを詩的に表現するというマリアージュ・バトルは、常に主観的対決のため、読者にはその優劣判断は全く出来ません。 最終的に作者のみが納得できる論理で勝敗の判定が付けられます。(2016/8)

■ 神の雫 連載を振り返って

最終話まで、熟読、 …10余年の連載を振り返って…
「最後まで読む必要は無い! 昨今まれに見る 駄作である!」
途中で提示された伏線も100% それどころか 最も重要な「神の雫」すら明かされません。
中二病的に、カッコばかりに酔いしれるのみで、ワインの本質すら伝え切れていません。
作者はワインが好きなのではなく、ワインを飲む自分に酔い痴れているのでしょう。、

ワイン好きの会社の上司のパワハラ(パワーワインハラスメント)です。、
延々と続く、会社のワイン好き上司の自慢話を聞かされている…
そんな感覚の漫画です。

作者の、作話能力は、昭和初期の漫画レベルであり…
作者の、ワイン知識は、素人の横好きから脱してはいないでしょう。
おそらく、ワイン知識の豊富な方々は、鼻で笑って、売れた漫画だから有効利用しているだけなので、マリージュ編になってからは、街中のワインヨップのポップでも「神の雫登場ワイン」という売り文句jを、すっかり見かけなくなりました。

いや、ワイン初心者が読めば、第1の使徒編あたりまでは、とても勉強になります。
それがあるだけに、余計に騙されるのですよね…
その後(使徒3あたりからは)ワインについての知識披露は、全くの受け売りで、作者はその知識を昇華し切れていません。

ですので、同じ系統のワインが登場すると、また同じ説明が繰り返され…
それはまるで、ワインショップのPOPレベルの内容です。

ストーリーとしては、サザエさん・ドラえもん方式で、1話(1章)完結。
主人公たちの経験値はそこでリセットされ、成長は一切ありません。
令和における漫画の面白さ、主人公たちの成長を、本作品に求めると、最上級に失望させられます。

個人的に、作者の発想は素晴らしく、そこからのストーリーの発展の可能性は、とても興味深い資質を感じるのですが… 残念ながら、この作者はそれを真面目に延ばそう・・・とか、取材をして、それを面白おかしく… 読者の興味を引くような昇華作業を試みる意識は一切無いようです。

作品から滲み出る雰囲気は、「読者なんてこんなレベルで満足するだろ!?」的な、怠惰な様相。 昭和の時代には、編集者として一流で、講談社の漫画を築いた人なのかも知れませんが… 令和となっては、老害。 早く漫画界から立ち去るべき人物かと感じます。

居残るのであれば、「原案」で、作話には口出ししない方がよろしいかと…

あくまで、個人的感想ですが… 神の雫をリアルタイムで追いかけた、一読者の正直な感想です。(苦笑

マリアージュ
~神の雫 最終章~ Comics



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